<< 團菊祭五月大歌舞伎・序 | main | 大阪松竹座・7月大歌舞伎参戦決定! >>

スポンサーサイト

  • 2008.12.02 Tuesday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


團菊祭五月大歌舞伎・昼の部

まずは昼の部からです。

当初は『勧進帳』しか観劇する予定はなかったのですが、3日の他の用事が早く済んでしまったのと、海老蔵丈の『切られ与三』が多少気になっていましたので、急遽見に行くことにしました。実際には二日に分けて見ていますが、記事としては一つにまとめます。

一幕見席というのは今回が初めてだったのですが、なかなかの盛況ぶりです。ちょっと甘く見ていました。『切られ与三』は何とか座ることができましたが、『勧進帳』は立ち見になってしまいました。『勧進帳』の方は平日だったのに不思議なことです。ただ、座った方の『切られ与三』の方は睡魔に襲われてしまいましたので、果たして座った方がよかったのかは疑問です。

○『勧進帳』
【主な配役】
・武蔵坊弁慶 團十郎
・源義経 梅玉
・富樫左衛門 菊五郎

【感想など】
今年は明治天皇の御前で歌舞伎を披露して120年目ということで、この興行が始まる前には120年前と同じ場所で『勧進帳』が上演されました。

私にとっては1月の松竹座以来で、今回は菊五郎丈の富樫を見るために東京遠征を決定しました。海老蔵丈の富樫も悪くはないのですが、最近は生にしてもテレビにしても海老蔵丈ばかりでしたので、たまには大人の富樫が見てみたいと思ったからです。立役の梅玉丈の義経にも期待していました。

私にとって『勧進帳』の台詞回しの基本は、昭和60年南座の顔見世での舞台です。もちろん生で見てはいないのですが、下の関連商品で紹介しているCDを通勤中などに車の中でよく聴いています。そのときの配役は、團十郎丈の弁慶、孝夫(現仁左衛門)丈の富樫、扇雀(現藤十郎)丈の義経です。特に富樫の台詞回しは、今まで見たり聴いたりしたどの富樫よりも優れていると思います。

さて、菊五郎丈の富樫ですが、名乗りの場面では元気がないように感じました。ただ、私が幕見席で見ていたので、舞台から遠く離れていることがそう思えたのかもしれません。それから仁左衛門丈の富樫が歌うような台詞回しなのに対し、普通の台詞回しだったので余計にそう感じたのかもしれません。

さすがに、弁慶との山伏問答はよく弁慶の團十郎丈をリードして素晴らしいものでした。ゆっくり静かに問答がはじまり、「して、山伏のいでたちは」あたりからだんだんスピードが上がっていき、「そもそも、九字の真言とは〜」で最高潮に達するのが、聴いていても楽しいところです。また、山伏と関守の詰め寄りの場面の緊張感や、山伏一行を通すことへの複雑な思いがよく分かりました。前半で元気がないように見えたのは、その対比のためでしょうか。

片や團十郎丈の弁慶ですが、いつもながら安心して観ていられます。1月にも大阪の松竹座で観ましたが、その時よりも体調十分な印象を受けました。病気からの復帰後、初の歌舞伎座での『勧進帳』ということもあり、團十郎丈自身も気合が入っていたのでしょうか。

私はまだ、『勧進帳』の弁慶で最初から最後まで見たのは、團十郎丈しかありません。とは言うものの、今『勧進帳』の弁慶は、團十郎丈しか考えられません。上手い下手という話は置いておきます。実際に過去上手い弁慶はいたと思いますし、現在他にも上手い弁慶はいると思います。

山伏問答の場面は、先代や先々代の幸四郎丈や先々代の松緑丈のを聴いたことがありますが、私の中では何か違うように感じられます。確かに上手いとは思います。ひるがえって、團十郎丈はというと、決して口跡は良くないと思います。けれども、実際の弁慶はこんな声だったのかなあ、と思わせるような説得力があるように感じられます。もちろん、私も今を生きている誰もが弁慶の声を聞いたことがないのですが(実在したのかも定かではありませんが)。そんなこともあって、現在のところ家の芸であることを抜きにしても、私にとって團十郎丈の弁慶は唯一無二の存在です。もっと他の弁慶も観て比べてみたいものです。

さて、この狂言の真の主役である梅玉丈の判官ですが、前評判どおり、やはり品のある御大将ぶりでした。ここのところ、すべての狂言において義経役は梅玉丈が独り占めしている感じがしますが、それを納得させるだけの品格が感じられます。

歌舞伎において義経という役は、その狂言(『義経千本桜』、『勧進帳』、『一谷嫩軍記(熊谷陣屋)』など)の中では真の主役でありながら、あまり感情を表に出すことがなく、どちらかというと主役である弁慶や熊谷直実の脇で品格を見せる役柄というイメージがあります。それ故に、子供の頃から歌右衛門丈のそばで過ごし、自然に品格を身に付けた梅玉丈の芸風に合っているのかもしれません。

この狂言の注目点は、役者ばかりではありません。長唄としても名曲なのは以前からもブログの中で紹介していますが、いまだに私の中で長唄『勧進帳』は長唄の中で一番好きな曲です。今回は立唄が巳紗鳳師、立三味線が巳太郎師、立鼓が朴清師で、1月の松竹座と同じでした(これは、下のCDとも同じメンバーです)。現在の長唄の中ではベストメンバーだと個人的には思います。ただ、巳紗鳳師の声があまり元気そうではありませんでした。これも幕見席で舞台から遠かったのでそう感じただけかもしれませんが、ちょっと気がかりでした。

やはり、『勧進帳』は狂言として完成されているのと、話の筋をよく知っているのでとても見ごたえがあります。また、團菊祭ということで、團十郎丈と菊五郎丈のぶつかり合いを見ることができたので大満足でした。團十郎丈にはこれから先も市川宗家として、『勧進帳』のお手本を次の世代に伝えて欲しいと思いました。

※昼の部はひとつの記事にまとめると書きましたが、長くなってしまったので分割します。

【関連商品】


昭和60年の南座顔見世興行(12代市川團十郎襲名披露興行)で収録された『勧進帳』。場面ごとにチャプター分けされて便利です。




7代目幸四郎丈(弁慶)と15代目羽左衛門丈(富樫)の山伏問答が収録されています。




7代目芳村伊十郎師の録音です。古い録音なのでノイズが入って聞きづらいところもありますが、初めの富樫の台詞を伊十郎師が語っている珍しい録音です。

スポンサーサイト

  • 2008.12.02 Tuesday
  • -
  • 15:09
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
sponsored links
ジーンズで歌舞伎を観る会
設立趣意書
会則
入会方法
・会員名簿
web拍手
selected entries
categories
archives
recent comment
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM